映画「草の乱」を観て

市議会議員 望月 久晴

 この映画は1884年(明治17年)に起きた秩父事件を忠実に再現したものです。
 映画は、富国強兵策の中で農民に対する増税と生糸価格の暴落の中で、農民の生活は窮乏を極め状況から始まります。こうした中で自由と民権を唱える自由党が農民の窮乏を救うために立ち上がり、高利貸しに対して、返済の一時猶予、金利引き下げ、40年年賦払いなどを求めて交渉をするが、まったく相手にされず、政治を変えなければと農民だけでなく心ある人々が次々に自由党に入党していく。自由党は埼玉県にも改善を申し入れるが相手にされず、その間、高利の差し押さえはどんどん行われ、農民は家にも帰れない状態となる。政治を変えると期待された自由党本部は政府の弾圧を恐れ解散してしまい、農民の期待を裏切ります。指導部は秩父だけの蜂起では、弾圧されてしまうと考えながらも、農民の勢いに押され、秩父地域だけの武装蜂起へと追い込まれていきます。

 この映画を観て、一番感動したのは、生糸の価格が暴落して農民が困っているのに、高利で金を貸し農民から土地を奪って越え肥る高利貸しやそれを見ても何の対策も取らない政府に対して、農民ではないが命を張って政治を変えようと立ち上がった人々がいたことです。
 主人公の井上伝蔵は、大きな商家の旦那であり、農民にお金を貸し、儲けることも出来た立場の人ですが、自由と民権に憧れ、農民の窮乏を救うために妻子命を投げ打って立ち上がりました。こうした人々が埼玉県にいたということは私たちの誇りではないでしょうか。本当に良い映画を観せていただきました。

(06/2/16)