スーパー堤防建設
ムダな公共工事の典型では

 国の財政危機が叫ばれ、そのしわ寄せは地方自治体や福祉事業に出ていますが、その一方でムダな公共事業が引き続き行われています。そのひとつがスーパー堤防整備事業ではないでしょうか。


戸田市のスーパー堤防建設現場

 国土交通省は、全国の大きな河川でスーパー堤防の建設を進めています。
 スーパー堤防は、大雨で河川の水位が堤防を越えても、決壊しない堤防?といわれ、下図のように大変幅の広い堤防です。
 しかし、スーパー堤防の建設には莫大な資金が必要で、一般的に1mの建設費が約1500万円といわれています。荒川160kmをスーパー堤防化にすると約2,4兆円、戸田市の年間予算の66年分に相当する事業費がかかります。実際は、そのほかに家屋補償などがありますから、その数倍かかります。

 スーパー堤防は決壊しない堤防と国土交通省はいって推進していますが、昨年10月9日、台風22号の大雨で、北区浮間1丁目のスーパー堤防で中央部分で大きな崩落があり、スーパー堤防の安全神話が簡単に崩れてしまいました。

 戸田市でも競艇所の西側の旧県営球場の跡に、スーパー堤防の工事が国土交通省の発注で行われています。延長140m、幅180m、面積2.8haで事業費は何もない空間地で20億円となっています。ここはたまたま建設に適した空間地であり、県の所有地でありましたが、多くに所堤は、工場・住宅の密集地域した民間の土地であり、様々な補償問題が発生し、莫大な事業費がかかり、下流域全体をスーパー堤防化することはまったく不可能なことであります。それを治水・水害対策としてやれるヶ所から事業化して工事を行うことは、税金のムダ使いの典型ではないのではないでしょうか。

(2005/6/3)


  [資料]スーパー堤防